食のあり方の基本を説いた中国の故事に「身土不二(しんどふじ)」という教えがある。人間の「身体」と「土」は「不二」(ふたつではない)、つまり、身体とその拠って立つ土地は切り離せないというものである。
自分の住むところを中心に四里(16km)四方の範囲内で採れた作物を食べていれば健康でいられるという意味である。 石材業界も近年、外国産の石が輸入されることが多くなってきた。外国産の石の善し悪しはともかくとして、外国産の石がその国で使用されるのであれば、その良さは輝きを増す。しかし、それを、気候・風土の異なる我が国に持ってきて、石材として使用すること自体に無理がある。高温多湿の気候、周囲を海に囲まれた国土にあっては、吸水率、塩害の問題も発生する。
「ふくしまの石」は福島県の中央部を南北に縦断する阿武隈山系の山々から産出された高品質の石を総称して呼ばれているブランド石である。この地域は「首都機能移転候補地」になるほど岩盤が固く、古来より石材資源の宝庫であった。硬度が高く、吸水率が低く、永年の風化にも耐えられる色と艶は他に類を見ません。
さらに、石は仕上げ方ひとつで様々に表情を変えていくものです。悠久の歴史の中で育まれた資源が高品質の石へと変貌するためには、卓越した加工技術の魂が注入されなければなりません。石の特徴を把握し、その良さを引き出す匠たちが丹精込めて仕上げる情熱は、あたかも赤子を育てる親のようであります。
福島県石材事業協同組合加盟の各社は、採掘から加工、施工まで、一貫して熟練したプロフェッショナルが携わる石一筋の集団です。「身土不二」の精神に則り、今後とも「ふくしまの石」にこだわり、真心こめて、格調の高さと時代のメッセージを未来へと伝えてまいります。